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イベントサンプル3

【健美家コラム】2024年3月号 第22話

“予定通りにいかない”を楽しむ外国人賃貸のススメ

 

■挨拶と最近の出来事

 こんにちは、外国人賃貸大家こと谷浩です。こんにちは、暖かい日も増えてきて、春が見えてきましたね。3月5日が啓蟄でしたので、もう間もなくです。そういえば、日本は四季があるので、色々な季節の備えがありますが、外国、特に最近日本への入国が多い東南アジアや南アジアは日本ほど四季がはっきりしていないため、日本に来ると季節の備え、特に冬の寒さには苦労しているようです。ただ、慣れてくると、四季を楽しむようになり、例えば私の物件の元入居者のスリランカ人は、昨年日本に来た奥さんとスノボに通ったりしています。私も外国人ビジネスを行っている仲間と今年はお花見をやろうとしています。

 

〜スノボを楽しむスリランカ人元入居者〜

 

ただ、問題となるのがラマダンで、今年は3月8日〜4月8日とお花見のシーズンに丸被ってしまうのです。

 

〜ラマダンの基礎知識と今年のラマダン〜

https://asiasunshinemarket.com/blogs/news/2024-ramadan

 

このあたりは、文化のすり合わせになるので、難しいのですが、今年はラマダンを外してお花見を開催してみようと思います。最悪、花見ではなくても“BBQ”という外国人が大好きなキーワードを放り込んでおけば、まずは大丈夫かなと思っています(笑)。

 

日本人は四季があるせいか、様々な備えを行い、計画性を持って動くのですが、外国人の場合には、そうもいかないマイペースな人も多いです。

 

そこで、今回はそんな大家さんや不動産屋さんの予想から外れる外国人入居者、入居希望者の動きについて書いてみたいと思います。

■ノーショウの話

 

お部屋を探したい場合、まずは部屋の内見となります。希望を伝えて、不動産屋に選んでもらうケースもありますが、最近はウェブサイトで見た物件を内見したいという指名が入ることも多いです。部屋の内見の場合、まずは不動産屋さんに行く場合も多いのですが、指名物件の場合には場所もわかっているので、最近は現地集合の場合も多いです。ここまでは、日本人も外国人も同じです。

 

ところが、ここからが違いが生まれます。日本人の場合には、時間にしっかりしているため、時間の10分前集合も当たり前です、ところが外国人の場合には、そうもいかないケースもママあります、定刻通りに来れば100点満点で、5−10分遅刻は当たり前、30分〜1時間遅刻もままあります。連絡があれば良い方で、ない場合もあります。

 

そして、外国人内見希望者の連絡がないまま、内見に来ないことはままあります。いわゆる“ノーショウ”ということです。英語で書くと、”No Show”なのですが、これはホテル宿泊などのサイトではよく使われている表現なのですが日本語にすると“すっぽかす”という意味です。

 

〜No Showの解説〜

https://www.ena.travel/glossary/no-show/

 

このサイトでは、”その迷惑さを軽くいなすような語感を持った口語的、略式の表現になる”と書いております。

 

私自身も内見をすっぽかされたことが何回もあります。北関東の寒空の中、1時間位現地で待つのは中々辛いので、慣れるまではとてもイライラしていた記憶があります。

 

それを何回か経験して、そのうち、10分くらいしたら、もう来ないものだと諦めるようになりました。

 

そして、慣れの究極は外国人専門の家賃保証会社、GTNの担当さんと飲み会で、ノーショウを話しているときに、ゲラゲラと笑い始め、“よくあるよね”と言われたことでした。日々外国人を相手にしている彼らには、慣れっこなことでした。

 

それ以来、私も外国人内見希望者が来る際には、事前に当日予定通り来るかどうかを外国人賃貸をやっている仲間と予想したりと、予期せぬプレーをするサッカーの10番、ファンタジスタだと思って芸を楽しむような姿勢に変えるようにしました。

 

この他、内見では謎の人物を連れてくることもままあります。そもそも、誰が入居者なのかもわかりません。友達なのか、通訳なのか、あれこれと事前確認を進めることを最初にやります。私が経験した中では、単身の部屋に7人が見学したことがあります(笑)。外国人も、友達が経験する日本の物件探しに興味津々なのかもしれないですね。

 

■ダイナミックプライシング

 

家賃の支払い方にも特徴がある場合もよくあります。まず、家賃保証会社に入っていないと、人種や年齢、独身かファミリーにもよりますが、滞納はままある。特にブルーカラーの労働に従事している方々は、母国への仕送りもあるので資金繰りが厳しく、家賃交渉をしてくることもよくあります。

これは、交渉ベタな日本人とは違い、外国人の方々が交渉を好む、という文化があります。手集金の場合には、交渉をしてくるのですが、振込の場合にはさらに厄介です。支払える金額を不動産会社の口座に入金してくる、というのです。不動産会社の人も予定通りの金額が振り込まれないので、最初は困惑します。事情を聞きに行き、あれこれ言い訳する人、事情が本当の人、様々です。私はこれを”勝手にダイナミックプライシング”と呼んでいます(笑)、不動産会社の人と連携し、支払い計画を合意することが、対応の肝となります。

 

■予定通りに来日しない、できない

 

いざ、契約しました、申込みをしました、と言ってもここからが問題です。例えば、来日予定の入居者の入居予定日がずれることは、当たり前に起こります。これは、日本の入管がビザを下ろすスピードに依存する問題です。コロナ禍が明けましたが、入管の審査スピードは、日本で学びたい、働きたい外国人の数に対して、未だに追いついていないようなのです。

 

他には、飛行機のチケットが取れない、という問題もあります。あとは、政情が不安定な国からくる外国人にも注意が必要です。母国が出国を許さない場合もあるからです。私が経験したケースでは、日本在住の信頼できる元入居者外国人からの紹介で、急に来日して日本で労働することになったから部屋を早急に仕上げてほしいという依頼があり、リフォームをなんとか入居予定日に合わせましたが、3回延期された挙げ句に結局来日せず、ということもありました。

 

■ミャンマー人18人の急襲を受けた不動産屋さんの話

 

私の場合には、立場が大家さんですので、用意できる箱は限られているので、経験する回数がそんなにはないのですが、これが外国人に部屋を仲介する不動産屋さんの立場だとさらに大変になります。

 

その会社さんは、地域の日本語学校と提携して部屋探しを手伝っておりました。ある日、日本語学校の担当者から、前日にミャンマー人8人が不動産屋に行くので、部屋を準備してほしい、という連絡が入りました。ところが、翌日の約束の時間に誰も来ませんでした。流石に、日本語学校の担当者からのお願いなので、ノーショウはないだろうと思い、待っていたら、2時間後に12人のミャンマー人がやってきたそうです。さらに、その2時間後には、6名追加となり、合計18名のミャンマー人の受け入れ先を翌日までに探す羽目になったそうです。

その不動産会社さんは、たまたまシェアハウスを自社で複数保有していたため、その空きになんとか翌日までに保証会社の審査を通し、受け入れることを内定できました。それにしても、日本人からするとよくわからない長いミャンマー人の名前を保証会社の申込書に記入してもらうのも大変ですし、何よりも賃貸借契約書を準備するのに名前などの必要事項を転記するのも一苦労です。これが他社物件への仲介契約となり、重要事項説明の必要があった場合、18人のミャンマー人にどうやって説明するつもりだったのでしょうか(笑)。

 

■在留外国人との付き合い方は”風の時代”を参考に

 

時流を示す言葉は沢山ありますが、私は最近“風の時代”というワードに注目しています。

 

〜風の時代〜

https://www.villalodola.jp/magazine/column-085/

 

この解説の中で、風の時代を次のように表現しています。

 

“今後は、知性・コミュニケーションなど、形のないものが意味を持つようになり、想像力、思考力が重要視されたり、柔軟性が必要になると言われています。そして自分の好きなことや、やりたいことに素直に行動することが大切な時代になります。”

 

私は、この風の時代という言葉が在留外国人と私達日本人の関係を表すピッタリな言葉だと思うのです。“自分が好きなことや、やりたいことを素直に行動する”ことを重視する外国人に対し、我々日本人は、“知性コミュニケーションで、柔軟に外国人に対応する”という姿勢で付き合っていかないと上手くことが運びません。

 

在留外国人はますます日本で増えています。外国人賃貸に関わっていない方にとっても、在留外国人との接点は増えていくと思います。日本で生まれ育った我々にとって、”予定通りではない”彼らの行動は時に非常識に映ります。そんな時、感情だけで拒絶することは簡単なのですが、懐深く“柔軟に”対応する、彼らの巻き起こすファンタジスタな行動を楽しむ、くらいの姿勢が、これからの日本社会には必要なのかもと感じています。

 

以上

 

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